アメリカの大手仮想通貨取引所のCoinbase(コインベース)が、分散型取引のプラットフォームParadex(パラデックス)を買収すると発表。
Coinbaseが自社で運営していた取引プラットフォームのGDAXと統合し、新しいプラットフォームとしてCoinbase Pro(コインベースプロ)をスタートさせました。
Coinbase(コインベース)はアメリカの大手仮想通貨取引所として、2012年に創業されており歴史のある企業です。
日本では、取引所というよりもウェブウォレットとしての認知度の方が高いかもしれません。
それもそのはずで、Coinbaseが運営する取引所GDAXは、現在のところ日本での利用ができないようです。
Coinbaseのウェブウォレットで送金等の機能は使える為、ウォレットとして活用している方がほとんどでしょう。
ここでは、この買収によるCoinbase(コインベース)の発展性や分散型取引プラットフォームとは何かについて解説していきます。
ERC20系のトークンを取り扱えるようになる
この買収により、新しい仮想通貨取引プラットフォームであるCoinbase Proにおいて、ERC20系のトークンを扱えるようになるということです。
ERC20とは、「Ethereum Request for Comments: Token Standard #20」の略語です。
イーサリアムのブロックチェーンを活用して、新しい仮想通貨やトークンを開発していく上で、プログラミング言語などの技術的なルールを統一するために作られた仕様のことですね。
実際にERC20のルールに基づいて多くの仮想通貨・トークンが作られています。
「ERC20」という名前の仮想通貨、もしくはトークンがあるわけではありません。
ERC20系のトークンは数万種類を超える
現在、ERC20系の仮想通貨・トークンは驚異的なスピードで増え続けています。
下記のサイトではERC20系トークンの一覧を確認することができます。
【Etherscan】https://etherscan.io/tokens
2018年5月の時点で、ERC20系トークンの種類は「86319」となっています。
そのほとんどが詐欺や実体のないものであると言われていますが、ここから有用性のあるサービスや仕組みが生まれてくる可能性は大いにあると言えますね。
分散型取引プラットフォームとは
注目すべき点として、買収したParadexは分散型取引のプラットフォームであるということです。
これは「分散型取引所DEX(Decentralized EXchange)」と呼ばれており、中央の管理者(第三者)がおらず、ユーザー間で直接仮想通貨のやりとりができる取引所です。
現在運営されている多くの取引所は、中央で管理している企業や組織が存在しています。
ユーザーは中央管理者が存在するサービス内にアカウントを作成し、仮想通貨の取引を行う為、「仮想通貨資産」や「秘密鍵」などの個人情報・資産を第三者に預けていることになります。
管理者が内部で起こすかもしれない不正や、外部からのハッキングの可能性など、多くのリスクが伴っているということですね。
分散型取引所(DEX)の場合、提供されるのは取引を行うための仕組みだけであり、利用者は個人情報の入力やアカウント作成などをすることなく利用することになります。
そのため、仮想通貨資産や秘密鍵といったデータは、完全に個人管理となり、その状態でユーザー同士が仮想通貨をやり取りするわけです。
透明性の高い取引が実現するという点や、管理者がいない分無駄なマージンが取られないという点がメリットとなっており、新しい取引所の形に期待が高まっています。
Coinbaseの今後の発展性について
Paradexをさらに進化させたCoinbase Proの運用を開始することにより、Coinbaseが提供できる仮想通貨の種類は格段に増えます。
現在はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の4種類のみだけでしたが、前述したようにERC20系のトークンが扱えるようになることで、取引所としての有用性が大きくなります。
Coinbaseはアメリカ国外のトレーダーに向けてサービスを展開し、最終的には国内の顧客への提供も計画されています。
アメリカの大手仮想通貨取引所として、既に多くの顧客を抱えるCoinbaseが提供する分散型取引のプラットフォームは、そのユーザー数ゆえに流動性と安定性にも期待することができます。
今後のCoinbase、そして分散型取引所の動向に注目です。