イーサリアム・リップルが証券に該当?SECの判断が与える影響は?

イーサリアムが証券に該当?SECの判断が与える影響は?

イーサリアムの価格が5月7日に6%下落。
この大きな反応は、アメリカの証券取引委員会(SEC)がイーサリアムを証券に該当するかどうかを協議するという情報が拡散し、売りに繋がったことが原因と見られています。
その状況の中で、ビットコイン・ライトコイン・リップルなどの価格にも影響を与え、いずれも弱気相場となっています。

証券に分類される可能性があるのはなぜか?

仮想通貨と証券の違いは何でしょうか。
ざっくりと解説すると、発行体となるものが明確にあるかどうかという点です。
仮想通貨が目指しているものは非中央集権、つまり特定の管理者が存在しない新しい通貨です。
ビットコインはその最たるもので、特定の管理者がなく、ビットコインに集まった資金は特定の管理組織・企業の利益にはなりません。
対して証券に対する投資は、証券を発行する管理主体が提供するサービスやプロジェクトに対して資金が集まり、その資金により開発が行われます。
そしてそのサービスやプロジェクトが成功した暁には、管理主体は利益を得ることができ、投資した人達も保有している証券の価値が上がり利益を得ます。

ビットコインは証券に該当しないとされている

こういった理由から、ビットコインは証券に該当しないという見方になっています。
ビットコインの新規発行は、ひとつの管理主体が行っているのではなく、取引を承認し記帳する作業を行う、有志によって集まったマイナーへの報酬です。
この流れで発行されたビットコインへの投資により集まった資金は、特定の企業・組織の利益に直結しません。
最近人気を集めているICOなどは仮想通貨のブロックチェーン技術を活用した新しいサービスやプロジェクトを開発する中央の管理主体が存在しており、ある意味でその企業・組織に対する投資となります。

イーサリアムが証券に該当する可能性は?

イーサリアムが証券になるかどうかが問われているのは、創設当初に実施したICOが問題となっているようです。
2014年創設当初の資金調達により、約16~19億円が集まったと言われており、それは開発資金として使われました。
そして、このICOに参加した投資家達には、後日投資額に応じたETHが付与されるという形でした。
2015年にイーサリアムのブロックチェーンが稼働し、マイニングによって新たなETHが発行されています。
では、ETHがマイニングによって発行される前に2014年に行われたプレセールの扱いはどうなるのか?
これが、「証券の販売に相当するのではないか?」という点が論点になっています。
これに対し、イーサリアムの開発側は「ETHの供給や発行もコントロールできる立場にない」と反論しています。

証券として取り扱われると何が起こるのか?

「イーサリアムが証券か否か」という問題が話題になっている理由はなんでしょうか?
もしアメリカの証券取引委員会(SEC)がイーサリアムを証券として扱うとした場合、起こり得ることは大きく分けて3点あります。

ハードルが高いSECへの登録が必要となる

証券としての扱いとなった場合、イーサリアムの取引をする上で証券取引委員会(SEC)への登録が必要になります。
登録は簡単なものではなく、審査基準も厳しくハードルが高いものです。
まず登録ができるかどうか、できたとしてもどのくらいの期間を要するのかは不明です。
そしてその間、取引所でイーサリアムの取引することができなくなり、取引が停止します。
ただこれは、アメリカでの話しなので、日本国内の取引所がイーサリアムの取引を停止するわけではありません。
ですが、相場に影響があることは間違いないでしょう。
また、SECの判断基準が、日本を含む他国が同調する可能性も考えられるため、「アメリカだけの問題」と安易に片付けることはできません。

未登録の証券を販売した事業者に罰金や罰則の可能性

イーサリアムが証券と判断された場合、取引所などの事業者は未登録の証券を販売していたことになり、罰金や罰則を受ける可能性があります。
そうなると、イーサリアムを保有しているユーザ、ICOに参加している投資家などからの訴訟問題に発展する可能性も出てきます。

他の仮想通貨やICOへの影響

イーサリアムが証券と判断されると、同じ理由で他の仮想通貨にも同じ問題が起こり得ます。
また資金調達を目的としたICOは、ほぼ全てのものが「証券」扱いとなる可能性があり、アメリカ国民に対しての販売ができなくなります。
そうなった場合、プロジェクト自体の廃止、ICO案件の減少等が懸念されています。

リップルも投資家らが「未登録証券を売買」主張で集団訴訟

同じような理由でリップル(Ripple)に対しても集団訴訟が起こっています。
訴えの内容としては、根拠のないXRPトークンが発行・販売されることでリップル社が莫大な利益を得たことは、未登録証券の提供となり連邦法および州法に違反しているとのこと。
イーサリアムが証券にあたるかの判断と、リップルに対する集団訴訟の結果がどうなるか。
多くの仮想通貨投資家達の注目が集まっています。

SECは判断に慎重な動き

アメリカの証券取引委員会(SEC)がどう判断するのかに注目が集まっていますが、意外に慎重な動きを見せています。
SECのヘスター・ピアース委員は「規制が新たな技術の発展を阻害するべきではない。適正な規制方法を模索している」と語っています。
また、他国のICO規制に関しても目を向けており、新しい市場の成長の芽を摘んでしまう可能性を懸念し、慎重な姿勢を取っているようです。

今後の証券取引委員会(SEC)の判断によっては、仮想通貨市場が大きく動きそうです。
引き続き、動向を注目しておくべきポイントですね。

こうした論争の中、イーサリアムの価格は下落しました。
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