中国┃取引所やICOなどの規制強化のなかブロックチェーン開発が加速するのはなぜ?

中国┃規制強化でもブロックチェーン技術の開発が加速するのはなぜか?

中国の最高国家行政機関である国務院は5月24日、公式声明文の中で「金融技術を広く開発し、ブロックチェーンとビックデータの活用についての研究を加速していく。」と発表しました。
それに伴い、地方金融当局と政府資金研究センターに対し、ブロックチェーン技術の開発に専念し、商業化を加速させるよう命じています。

中国でのブロックチェーン技術開発が加速するのはなぜか?

中国の杭州市は、ブロックチェーンの開発を行う企業やグループに資金提供するため、グローバルブロックチェーンイノベーションファンドに投資。
こうした動向の背景には、ブロックチェーン技術の開発のために、関連する事業に対して数十億ドルの資金提供を行うといった中国政府や地方自治体の積極的な方針があるためです。

キャッシュレス化などフィンテック技術が発展する中国

中国は世界的に見てもキャッシュレス化が進んでいる国として注目されています。
この面においては、日本ではかなり遅れをとっているため、日本人にはピンとこないかもしれません。
例えば、中国には有名な2種類の電子マネー「WeChat Pay」と「Alipay」があります。
「銀聯(ぎんれん)カード」と呼ばれる銀行のカードを使い、デビット機能を搭載することで、スマホで簡単に決済が可能。
地下鉄やバス、タクシーの交通機関を利用する際は、上記の電子決済が使われています。
また、コンビニやスーパー、市場や屋台、路上店舗でも、QRコードが店頭に張り付けられており、レストランではほぼ100%電子マネーが使われているとか。
当然のごとくECショップでは、現金やクレジットカードよりも電子マネーが主流となっているようです。

基本的には独自経済圏の確立を目指している?

中国はもともとフィンテック技術に対しての姿勢は積極的だと言えます。
例えば、Twitterは「Weibo」、youtubeは「Tubou」、Facebookメッセンジャーは「WeChat」というように、独自のテクノロジー、ネットワークを確立しています。
ブロックチェーン技術に関しても似たような姿勢が見られ、プラットフォームとしてイーサリアムを採用するのではなく、中国に拠点を置くQtum(クアンタム)やVeChain(ヴィチェーン)といったプラットフォームを支援しています。

取引所やICOなどが規制されるのはなぜか?

中国では2017年に、取引所やICOを禁止するなど「仮想通貨」に関しては非常に厳しい措置を取っています。
こうした中国の動向を見て、仮想通貨やブロックチェーンに対して否定的な印象を持つことがあるかもしれませんが、実はそうではありません。
国家戦略の一環として、自国通貨である人民元が国外に流れていくのを阻止する為という見方もありますが、「仮想通貨やICO」と「ブロックチェーン技術」を混同しないという考え方があるようです。
「仮想通貨・ICO」の多くは、「実体がない」「もともとの計画に無理がある」「そもそも詐欺」であることが多く、本質的に違法行為・金融詐欺であるとしています。
しかし、こうしたブロックチェーン技術を悪用した金融活動とブロックチェーン技術の開発は全くの別物であり、第4次産業革命と呼ばれるブロックチェーン技術開発をリードしていくという意図があるようです。

中国で実用化されるブロックチェーン技術

こうした国としてブロックチェーン技術開発を加速させている中国ですが、その実用化に関するスピードも注目すべき点で、2017年にはブロックチェーンスタートアップ企業が178社設立されたと言われています。
また、中国メディア「CEBNet」では、中国にある銀行26行のうち、12行は2017年にブロックチェーン技術を採用したと報じられています。
その12行には、「中国銀行」「中国農業銀行」「中国建設銀行」といった国が保有する銀行も含まれており、ブロックチェーンを活用した貸付サービスの展開や、インフラ整備のためのデジタルウォレットの開発等が行なわれています。

電子マネーの普及が著しくキャッシュレス化が進む中国において、ブロックチェーン技術がどう発展していくのかは注目しておきたいところですね。
当記事の中でも出てきた、Qtum(クアンタム)やVeChain(ヴィチェーン)といったプラットフォームが、イーサリアム以上に活用される可能性もあります。
現時点での仮想通貨の価格や変動だけを見るのではなく、こうした背景を知ることは今後の仮想通貨投資に生かすことができるかもしれませんね。

⇒「クアンタム(QTUM)とは?購入できる取引所とウォレットを紹介
⇒「ヴィチェーン(VEN)とは?その特徴と購入できる取引所を紹介